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「じゃあ、蓮にしよう」
「生まれたら、蓮にも見せに行かないとな」
「きっと、喜んでくれるね」
それから数日後、私は無事男の子を出産した。
蓮の生まれ変わりだとは思ってない。
だって、次の世で、私と蓮はきっとまた出会って、恋に落ちるんだから。
入院している僅かな期間、武士さんは毎日仕事終わりにレンの顔を見に来ていた。
指を掴んだと言っては喜んで、あくびをすれば可愛いとまた喜んだ。
退院して家に帰ってからも、何枚も写真を撮り、毎日残業することもなく、飲み会も断ってまっすぐ家に帰ってくる。
お風呂にも入れたがるし、おむつの交換も嫌な顔一つせずにやってくれて、私としてはありがたい限りだ。
本当にいい旦那様だと思う。
私が出産して間もなく、由香も結婚した。
出会ってから1年のスピード婚だったけど、幸せらしく、毎日のように惚気の連絡が来る。
式で見た旦那さんは、見るからに由香にメロメロで、私も安心している。
私も由香も、きっとこの先夫婦喧嘩をすることもあるだろうけど、ちゃんと乗り越えられるだろう。
蓮の手帳は、武士さんにも見せることなく、大切にドレッサーの引出しに保管してある。
たまに、読み返して泣いてしまうこともあるけど、そんな時は、何か感じるのかレンが泣きだして、私を現実の世界に引っ張り戻してくれる。
蓮。
蓮と出会えて、私も幸せだった。
二人で過ごした日々は、今も色鮮やかに心に残ってる。
あなたが望んでくれたように、幸せになるから。
だから、いつかまた会えたら、また私と付き合ってください。
心からの愛を込めて。
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