私、悪く無いもん!

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転棟で、永和は、男性スタッフをとことん拒否するので、スタッフを集めるまでが一苦労。 病棟での受け入れがOKとなってからの転棟になったために、入院してから既に半年が過ぎていて、病院から公彬の勤務先への電話が出来ないようにされていた。 その公彬からも、SOS が入っていた。 検査で異常が見つからないと当り散らした永和が、時間の観念無く、同じ内容の電話や手紙が毎日送ってくる。 話したり読んでいないと、永和のヒステリーが待っている。 今までの携帯だけでなく、他の患者さんの携帯まで使う。 もしかすると、新しく回線の契約をしたのかも?と、公彬は考えたけど、答えが出ない。 松野が自分と永和の関係を良く知っていると考えて受診したら、 「永和は、メンタルの病気で、通常の生活と妄想の区別が無い。 日常生活への復帰は無理。 社会性も無い。」 と、伝えられた。 正直驚いた。 だけど、 「昼夜を問わず連絡が入る上に、携帯の回線も2回線に増やしているようだし、答えが見つからない。」 公彬は、項垂れる。 そこへ、松野から、 「永和さんは、自分を支えてくれる人、甘やかしてくれる人を求めています。一切、無視を続けることが、永和さんからの呪縛を切る唯一の方法ですよ。出来ますか?」 「やらないと、自分は一生、彼女に付きまとわれるのですね。だったらやります。」 そう言って、公彬は永和との関係を終えた。 病院での鉢合わせを避けるためと、勤務後に通院するために、松野から病院の紹介も受けた。 朝日メンタルクリニック。 隣の市にある個人クリニック。病棟は無い。 ここなら、永和が来ることは無いと思われる。 新しく、永和の影のない生活のスタートだった。 街で携帯のナンバーやメルアドも変えた。これで、新しい彼女を作るんだと、新しい道を歩き始めた。
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