私、悪くないもん！

私、悪く無いもん！

それから、私は事あるごとに叶桜を追いかけて、観察した。

叶桜の足の動きを真似したし、車椅子の扱い方も真似したし、

何より、長い入院生活から抜け出して、社会で生きたいとも考えるようになっていた。

永和の退院に、主治医の松尾を始めとして、どのスタッフも反対。

先の車椅子の叶桜の入院中に、何度も首を絞めたし、

殴ったり蹴ったり、決闘まがいの呼び出しもした。

自分の財布を叶桜のベッドに置いて、

彼女が財布を盗んだと、患者の噂にした。

更に、薬で考える力が弱い患者を利用して、

叶桜の病室で悪態というか、悪口を喋らせた。

その患者さん、保護室行きになったけど、そんなこと知ったことじゃ無い。

唆したのは私だけど、やったのは私じゃ無い。私は悪くない。