私、悪く無いもん!

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病院に、退院を伝えた時、病院側は治療が終わっていないし、 精神の病気が複雑に絡まっているから、今はほぐしている段階と言う。 それに、暴力行為が激しいから、普通の住宅に住むことは難しいと言われた。 それでもと、念押ししたら、ケースワーカーさんも含めて、検討しましょうと、なった。 ケースワーカーさんは、精神障がいの認定を受けて、障がい年金を受けるのが定番だけど… と、言葉を濁す。 私は、自慢じゃないけど、年金の支払いをしたことが無い。 私が話す前に、ケースワーカーが、 「市役所での納付を調べたけど、綺麗サッパリね。入院前は何をして働いていたの?」 と、聞いてくる。私には、仕事といえばバイトだと、信じていた。 正規職員に臨時職員、ハローワーク? どれも知らない言葉だし、説明されても理解が出来ない。 「私はここに居るような馬鹿じゃ無いのだから、分かるように説明してよ。」 「私、母親と折り合いが悪くて、働かないといけなくなって、高校を中退したけど、成績は良かったんだよ。」 何を訴えても、 「そうねぇ。」「そうだったの?」 と言う、言葉の繰り返し。 「でもね、福祉の手続きを理解して、働くことが難しい時にも安心して過ごせるようにすることは、大切よ。車椅子で働ける場所、どれくらい有ると思うの? ほぼ無いって考えたほうが、良いくらいよ。 その言葉に、気持ちが真っ白になるような思いだった。 テレビの話は嘘だったの? 車椅子の女性のラブストーリー。 私も同じようにないたいって、心に決めたところが有った。 車椅子だったら、働けないの? 「歩けたらいいんでしょう!」 室内を歩いたら、たちまち足が縺れる。 「この病院に入院してから2年以上、人前で歩いていないでしょう。 夜に歩く練習をしていることも、聞いているわよ。 だけど、リハビリとも話したけど、真面目にリハビリをしていないでしょう。 足の甲を下にして歩いても、歩く練習にはなっていないでしょう。 先ずは、真面目に歩く練習からしませんか? それにね、お金のやりくりの勉強もしないとね。 少しの金額で、生活にかかること、ご飯に家賃に携帯など、無計画だと無くなるよ。 それも勉強だね。」
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