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「お願いします」
「へ?」
唐突に部屋に現れた一生が、ぺこりと頭を下げる。それに侑平は天変地異の前触れかと驚いた。
「そんな驚かなくても」
「いや、いつも容赦なく巻き込んで来るから」
むくれる一生に、いつもならば頼むなんて言わないだろと、侑平は苦笑してしまった。
「だって……独りじゃ無理なんだよ」
「ほう」
大体独りじゃ無理なことしかしないよなと、侑平はこれにも首を傾げた。一生は悪戯好きの鬼だ。必ず相手を必要とする。
「悪戯じゃない!楽しみたいの!!出来れば、礼門とか他の奴も巻き込んで!でも、俺だと断られるし」
そこでしゅんとなる一生に、侑平は図らずも同情。仕方ないなと協力することになる。
「ほんと!?」
途端に明るくなる一生に、侑平はさらに苦笑。一体何が一生をそれほど真剣にさせているのか。
「実はーー」
「えっ?」
「クリスマスパーティーですか。いいですね。やりましょう」
「やった。さすが侑平!攻略順が解ってる!!」
「ははっ。まあね」
場所は寺の台所。なんと、一生がやりたかったのはクリスマスパーティーだったのだ。そこで、侑平はまず料理番である薬師如来の元を訪ねていた。そして快諾を得る。
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