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「それじゃあ、行ってきまっすっ」 インカムから聞こえて来た蛇の声は、遠足に出発する子供のように無邪気に弾んでいた。 俺とハルは定位置についている。目標倉庫の手前にある倉庫に身を隠しながら、俺たちの行動開始の合図となる蛇の同行を伺っていた。 道を挟んだ反対側の倉庫から蛇が出て来た。上着のフードを目深にかぶっている。 奴は目標倉庫へと歩いていく。 驚くことに、本当に真正面から行くつもりらしい。 上着のポケットに手を突っ込んでやってくる蛇の姿に、巡回していた男が気が付いた。止まるように叫んでいる声が聞こえて来る。仲間の声を耳にした他の巡回たちも各自の持ち場から何事かと顔を向けている。 途中で立ち止まった蛇のもとに男が近づいていく。 フードを被って一切のリアクションを見せない蛇と接触した瞬間、男の身体が崩れ落ちた。 周囲の仲間が呆然と立ちすくむ。一切の動きが停止していた。 上着のポケットから抜いた蛇の手にはサバイバルナイフが握られていた。 ナイフの刃はついたばかりの血で汚れていた。 蛇の口元に吊り上がるような笑みが浮かんでいるのがわかった。     
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