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怒号と銃声がはじけ飛ぶ。それらはさらに怒声と仲間を呼び寄せた。シャッターの入口から人が出て来る。巡回にまわっていた人間が全力疾走で駆け付ける。 「行きましょう」 ハルが動き出した。 その間にも、すでに四人の人間が地面に倒れ込んでいた。蛇めがけてさらに数人の男たちが駆け寄っていく。悲鳴と怒号がまき散らされている。 俺たちは目標倉庫へ駆け寄り、外付けの非常階段を駆け上った。 すべての視線と意識は蛇へと向けられている。俺たちの足元を男が駆けていったが気づきもしなかった。 二階の外回廊から窓をのぞき込む。左右に伸びる通路に人影はない。通路に面した部屋が三つある。ドアは開け放たれていた。人が出て来る気配はない。 銃のグリップを叩きつけてガラスを割り、鍵を開けた。ガラスが砕けた音も、俺たちが廊下に降り立った音も、階下の騒動が都合よく飲み込んでくれる。 窓に背を向け、部屋のあいだを伸びる通路を、ハルを先頭に進んでいく。なるべく足音を殺し、いつでも応戦出来るように両手で銃を握り、銃口をあげる。進行方向はハルに任せ、後方から来る敵がいないか目を配りながら移動していく。 通路を抜けて、上階へ続く階段に到着した。     
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