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口にしたことで罪悪感が押し寄せたのか、伏し目がちにポツポツと呟いた。
「こういう仕事に関わるときは事前にちゃんと連絡するって約束をしているんです。でも今回はなにもせずにしてるんです。帰って来るまでに片付くと思ったのでバレないだろうって……」
そのまま小さくなって消えてしまいそうなほどなだれている。
半泣きの少年を前に、俺の胸にもちくちくと刺さるものがあった。
「待て。それはあれだろ、突発的なことだったから時間がなかったんじゃないのか」
だとしたらこちらにも非がある。むしろ、俺たちのやらかしたことに振り回してしまっているのだ。大元凶として黙っていられない。
「俺がお前の保護者と話を、」
するとハルはぱっと顔をあげると、からりとした声で、
「それはちがうんです」
首を横に振る。
「そうじゃないんです。時間はあったんです。けど説明するのが面倒な点が、まぁ、蛇さんのことなんですけど、あったからわざと連絡しなかったんです。ジョージさんもあっくんもここには絡んでません」
そして俺を見上げて、にこっと笑った。突然の笑顔に面食らう。
「ありがとうございます。ちょっと元気になれました」
そう言って、ハルはインカムに意識を戻した。
その途端、「あれ」と眉をよせた。
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