2人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「……おにいさんて他人に無関心なようで、案外、そうでもないんだねぇ」
「あ?」
反射的に眉根を寄せて、相手を睨みつける。
すると蛇はパーカーから腕を出して、スマホを操作しはじめた。ディスプレイの光が蛇の顔を薄気味悪く照らし出している。耳に充てると、軽薄な明るさでしゃべりはじめた。
なんでコイツがここにいるんだ?
明石がいなくなったことと関係があるのか? むしろコイツが関わってるのか?
頭のなかで考え出すと、反響するように思考がやかましくなる。まるでこの路地みたいだ。軽い頭痛を覚える。立ち去ろうと動き出すと、蛇は腕を突き出して、俺にストップをかけてきた。
「そう。痕跡がある。梶の予測で合ってるかもね。あと、別のもん見っけた」
電話でやりとりを続けながら、蛇は俺の動きを制するように、視線を向けて来る。
「見た感じ、けっこうボロボロだぜ。使えるかどうかわっかんねーな」
言いながら、俺をみてにたりと笑うと「わかった、連れて行く」と口にした。
さらにいくつか会話を重ねてスマホをポケットにしまいこむと、
「おにいさん、ごはん食べた?」
「は?」
まとわりついて来るような視線がうっとうしい。
「悪いけど、おまえと遊んでる場合じゃねぇんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!