1 (ゾイ)

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「まず、家畜と這うものと、地の獣だね。 “地は生き物を種類にしたがっていだせ。 家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ”」 「それから、人だ。 “われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう”」 「一番最後に作ったけど、最初から “他を治める者” として創造されたんだね」 「そうだね。それは、他に対する責任も負うということだ と思う。愛し慈しむこともね」 そっか。統治者って、そうなのかもしれない。 私はまた頷いて 「でも この部分は、どう書くの?」と 1章26節の “われわれ” の文字を指差した。 「そうだね。主は “唯一神” だからね。 ひとりのはずだ。 だから、この時は すでに天使たちがいて “人をどんな形に造るか?” っていう協議がされたかもしれないね。 もしかすると、受肉する前の聖子もいたのかもしれない。話し合う天使たちの挿し絵を入れよう」 “angeli”、天使の複数形を また丸で囲む。 「次の27節も どうする? 後の肋骨を取り出した話と、齟齬(そご)があるよね?」 私がまた指したのは “神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された” ... って ところ。 「そうなんだ。この女性は、“リリト” だという話もあるね。 リリトは、大母神キュべレの娘 だという。 キュべレは、主が抜き出した自分の悪の部分だ。 “創造主” であった主から 悪を抜き出したからこそ 善という観念も出来て、主は “善” となったけど... うん。ともかく、この女性が リリトだった場合なんだけど、彼女は寝る時に “自分が上位でなければイヤだった” っていう話があるんだ」 私は、ジェイドの透き通るような肌の頬の辺りから、薄い色のブラウンの眼に視線を移したけれど 彼は真面目に頷いた。
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