1 (ゾイ)

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「つまり、男性側に 好きにされたくない女性だったようなんだ。 それで楽園から逃げて、天使が追って説得したけど、戻ることはなかったようだね。 今彼女は、ルシファーの城にいるようだし」 つい「ルシファーは、その... 」って聞くと 「好きにさせてるんじゃないかな? “父絡み” の女性だしね」と、肩を竦めた。 黒いウェイブの髪に、陶器のような白い肌 整った眉の下の、また恐ろしく整い 長く黒い睫毛に縁取られた碧眼を思い出すと 小さなため息が出た。 「それで、この箇所はどうするの?」 私がまた、“男と女とに創造された” という箇所を 指差すと、ジェイドは 「そう。それなんだけど、次の2章に 人の造り方の話が詳しく出てくるよね? “土の(ちり)で男を造って、肋骨を抜いて女を造った” って。 実際は、その概要を先に言ったんじゃないかな? 1章は、“天地の全てを六日で造った” という話で “第六日に人も造った” 2章で、その “造り方” を書いた」と 自分の膝に頬杖を着いた。 「リリトは?」 「もしかすると、肋骨を抜く前に 土の塵から造られた男といたのかもしれないね。 ただ、混乱を招くといけないから “神は自分のかたちに人を創造された” だけにしよう」 さっきの丸で囲んだ “angeli” の後に その 一文だけを書いた。
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