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私たちが、長椅子を立った時に 本山さんに相談事を話していた男の人も 前の方の長椅子を立った。 話を聞いてもらって 助言を受け 一緒に祈ったようで、来た時より明るい顔をしてる。 彼が帰る時に、手を差し出して握手をすると 彼は安堵の表情を浮かべた。 相談の内容は分からないし、彼も 何故今 自分が安堵したのかは 分からないだろうけど 私は 悪魔の身体でも、中身は天使だから 簡単な癒しを施すことが出来る。 “大丈夫” と、肩の力を抜く程度のことだけれど 出来るだけ人の助けになりたいと思う。 男の人が教会を出ると 「では、本山さんも休憩されてください」って ジェイドは言って 「もう お昼だね。食事を取りに行こうか? 着替えて来るから... 」と 通路を歩こうとした時に 教会の扉が開いて「神父さま」って 女の人が入ってきた。 まだ、ジェイドたちと同じ年頃に見える その人は 前にも 一度、ここで見たことがあった。 「こんにちは、麻田さん」 私と本山さんは、眼を合わせる。 麻田さん、と 呼ばれた彼女は 週に二~三度は こうして教会にやって来るようで 隙のないお化粧、手入れされた爪をしていて ジェイドを熱っぽく見上げてる。 「また相談に乗って欲しくって... 」と ジェイドの胸に片手を添えた。
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