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「エスプレッソにフルーツは合わないね」って また別にチョコブラウニーを取ってる。 ジェイドは意外と食べる。それを言ってみると 「僕は身体が大きいから」って答えたけど、 答えにはなっていないような気がする。 「気付くところが女性的だよね」と 言われて そうなのかな? って、また考える。 「父は、どうして性別を分けたのかな? だって、“助け手” だったら 男の身体の方が、ずっと動くし助けになるのに」 私が言うと、ジェイドは少し笑った。 「仕事のためじゃなくて、生きるためだからだよ。 心を支えて欲しいし、相手を護りたいから」 「うん... 私、その辺りのことが よくわからないんだけど。恋したことがないから。 “素敵” だって思うだけじゃ違うの?」 「いいや。それで充分。 恋した()に、素敵だって思われるなら 男は何だってやるよ」 ブラウニーを食べて言うジェイドに なんだか似合わない言葉のように思えて 私は、照れた風に笑ってしまった。 「なんで笑うの?」 「ジェイド、恋なんてするの?」 「失礼な。今、恋をしていないだけで 僕だって恋の経験はある。 同じようなことを、過去に朋樹にも聞かれたよ」 「本当?」 「本当。しかも、“マグダラのマリア” だ」 素敵。聞かせてみて、って 眼で訴えると ジェイドは話してくれた。でも、終わりだけを。
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