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「莉乃……」
寂しそうな、疲れたような声に莉乃は顔を出そうとしたところで、シーツの上からギュッと抱きしめられた。
「莉乃……。不安にさせてごめん。違うんだ……」
泣きそうな声が聞こえて、莉乃はそっと顔を出した。たかが数日だけなのに、疲れ切ったような憔悴しきった誠の顔に、莉乃は心がギュっと痛くなる。
「ちゃんと食べてるの?」
そんな言葉しかでない自分に、莉乃は内心呆れつつも誠の顔を見上げた。
その顔は、莉乃がいなくなって他の女の人と遊べて喜んでるようには到底見えず、莉乃は話をせず逃げ出したことを後悔していた。
「莉乃」
誠は莉乃をそっと、起こすとベッドに座らせた。
その後、ジャケットの胸ポケットからきれいな真っ白な箱を取り出した。
「これ」
「え?」
いきなり何かわからず莉乃は箱と誠を交互に見た。
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