風邪から始まる嵐の予感

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「あれーようちゃんだあ」 まだ眠いのか普段よりテンションも声も低めの安江の姿に俺はエレベーターにのりかけた足を戻した。 カラフルなモコモコのパーカーに可愛らしいヘアバンドでフワフワの髪からおでこを覗かせた安江は朝だというのに申し分無く可愛らしい。 「おはよう」 「おはおはー、ようちゃんどっか行ってたの?」 「ちょっと実家帰ってた、安江はこんな朝からどうしたんだ?」 「お部屋の電気切れたから土井ちんに電球貰いきたのー」 届くか?とは聞かない。 まだ起き抜けとはいえ身長の話を持ち出せば安江の機嫌が急降下するのは想像がつく。二日酔いの頭でそんな安江を相手にする程俺の元気は残ってはいないのだ。 俺が言葉を飲み込んでいれば、眠い目を擦りながら「また後でねえ」と安江は寮長室へと消えていった。 それを見送り俺もエレベーターへと乗り込んだ。
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