風邪から始まる嵐の予感

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side 安江 なーんかよーちゃんの様子がおかしい。 何がと聞かれれば分からないけど、なーんかおかしい。 「失礼しまーす。あ、土井ちんおはよう」 腑に落ちないモヤモヤを抱えたままよーちゃんと別れた僕は滅多にこない寮長室のドアをノックし中を覗いた。部屋の主である土井ちんを見つけると朝のあいさつをする。 そんな僕に土井ちんは優しい笑顔でお返事してくれた。 「安江くんおはようございます、朝からどうしたんですか?」 「電球もらいにきましたー」 「そうですか、では備品庫から出してくるので帳簿にサインしておいて下さい」 「はーい」 「あ、そこで寺崎くんと会いませんでしたか?」 「うん、エレベーターの前で会ったよお」 「話している間少し顔色が悪く感じたのですが、大丈夫そうでしたか?」 あ、体調わるかったから様子がおかしかったのか。 さっきのよーちゃんの顔色を思いだし、確かに少し悪かった気がしてきた。 土井ちんと何のお話したのかも気にはなったが、とりあえずよーちゃんの体調のほうが気になるので電球だけ受け取り土井ちんにお礼を言うと寮長室を早足で後にした。 エレベーターを待ちながらよーちゃんが倒れていないかソワソワする。 他の人には気を使えるよーちゃんだが、自身の事となると無頓着なためきっと今も自分が体調が悪いことに気付いていないかもしれない。僕が助けてあげなきゃ、と変な使命感を抱えやっと来たエレベーターのボタンを押す。 「よーちゃん待っててね」
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