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side 陽介
ここ、政央学園はいわゆるお坊っちゃま学校である。通う生徒の大半がそれなりの家柄に生まれ将来を約束されている為、子供のスキャンダルすら命取りになるような大物たちがこぞってこの隔離施設に子供を預けるのだ。
外から見れば金持ちの娯楽学校に見えるだろうが、実際中身はそんな親のプレッシャーやエゴに押し潰されまいと粋がるお子ちゃまの集まりだ。
似た境遇の子供を集めれば一気団結で反抗組織になりかねない、と分かりそうなものだが親とは見ているようで自分の子供を分かっていないもの。
それでも大きな問題にはなっていないのは、やはり育ちがいいからか、はたまた保身を考えるくらいには頭を使えているのか。
まぁ両者正解だろう。
自身の将来を棒にふる程の問題を起こす馬鹿はそう居ないが、小競り合いや悪巧みは日常茶飯事。
そんな学園に染まる前に釘をさしたが、悪い先輩たちにそそのかされず生活するなど不可能にちかい。もって1ヶ月ってとこか
学園内の現実に眉をひそめ袖裏へと戻れば、見知った顔に「おつかれ」と声をかけられた。
俺の友人であり、生徒会書記を勤める上岡優の姿にほっと笑みをこぼす。
180を越える身長、鍛えられた肉体、顔立ちも切れ長の目元に薄い唇は決して可愛いとは言い難いが、俺にとって上岡は癒しの存在である。
惹かれるように上岡の隣にならべばくしゃりと後頭部を撫でられた。
「はいはーい!注目ちゅうもーく」
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