風邪から始まる嵐の予感

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だが残ると聞き分けのない事を言っては他の1年まで巻き込んでしまうため、俺はその場は素直に五十嵐先輩の指示に従った。 談笑に花を咲かせながらの帰り道、コンビニに寄ると上岡たちと別れ明るい店内に入った。ドリンクコーナーから栄養ドリンクを人数分握り夜食代わりのカップ麺を選ぶ。 「240円のお返しです。ありがとうございました」 夜遅いというのに変わらず明るい笑顔の店員さんからレジ袋を受けとり来た道を先より急ぎ足で戻った。 「あれ、先輩方もうお帰りですか?」 「煮詰まったから個々で持ち帰りする事にしたんだよ。むしろ寺崎まだこんな所にいたのか?」 「あ、俺は皆さんに差し入れと思って」 下駄箱で上履きに履き替え廊下を急ぐと途中でコートを着込んだ先輩方と鉢合わせた。 まだ仕事をしていると思ったため多少の驚きに目を丸くする。 「寺崎くんありがとう。部屋で頂くよ」 「おー気が利くな!今度学食で返すわ」 買ってきたものを袋ごと手渡す。副会長に空いた右手で頭をくしゃりと撫でられた。 ふと普段なら一番に目に入る存在がいない事に気付き、副会長の手を丁重に下ろし伺った。 「五十嵐会長はまだ残ってらっしゃるんですか?」
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