風邪から始まる嵐の予感

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「………またあったんですか学内での性交遊」 部屋の隅に設置されたコピー機にプリントをセットすると先に出されていた紙が目に入り手に取る。 見れば今日の昼に起きた学内での性交遊についての処罰書類だった。 「こればっかりはどんなに処罰を重くしても減らないだろうな」 「そうゆうものですか」 「俺たちは個室を与えられているが一般生徒は部屋で、って訳にもいかないしな。気持ちは分かってやりたいんだが、立場上まったく無視をする訳にもいかない」 二年の先輩と、これ隣のクラスのやつだ。 体育倉庫とはまたベタな場所選んだな、そりゃ見回りにすぐバレるわ。 穴が開くのではと思うほど文字を追っていれば、いつの間にか後ろに立っていた五十嵐先輩に肩越しに紙を取られた。 「興味あるのか?」 「……そりゃお年頃ですので」 「ふっ、寺崎の口からお年頃なんて言葉が出るとはな。……そういえばお前こっちに来てから経験済か?」 「…………いえ」 何だが方向が俺の性経験へと転回してきた。 面白そうに声を弾ませる五十嵐先輩とは逆に俺の声は沈む。何が悲しくて憧れの先輩と下ネタで盛り上がりなければならないのだ。 短い返事をすると止まっていた手を動かしはじめた。 生徒会室にはコピーの特有な機械音が響く。
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