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興味があったとはいえそこまで詳しく調べた事はなかった。
だから俺は知らなかったのだ。男同士の準備がこれほどに屈辱的なものだとは。
「何だか大切なものを失った気がします」
あの日以来、五十嵐先輩からメールで送られてきたサイト通り準備を続けた。その行為は一部のマニアックな趣向の持ち主でなければソレで興奮などできないであろう内容だった。いや、男同士という時点でマニアックな趣向なのだが。
「やめるなら今のうちに言えよ、始めたら流石にやめてやる気はないからな」
「ここまできてやめません」
散々一人で快楽の為の準備をしておきながらその快楽を知らずに終わるなどありえない。
指定された日の夜にシャワーを済ませ一人で五十嵐先輩の部屋に来たのだ。覚悟はもう固まっている。
「それ聞いて安心した」
持ち帰り仕事を終えたのか、ソファに座る俺の横に五十嵐先輩も同様に腰掛けた。
目線を送れば五十嵐先輩の強い眼差しとぶつかる。
世間話でもして緊張を解したかったのだが、喉の奥が貼り付きうまく声が出なかった。その間に五十嵐先輩は俺との距離を詰め、吐息がかかる程の近さで囁く。
「目、閉じろ」
綺麗な顔をもう少しだけこの距離で眺めていたい気もしたが、俺はゆっくりと瞼をおろした。
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