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「さっきはよーちゃんが脅かしてごめーんね」
マイクごしに聞こえる自分より高い声。
そちらに視線をむければ上岡も同様に壇上へと向き直った。心地のいい手が遠退くのを少し残念に思いつつも我らが生徒会会長である安江の声に耳を傾ける。
「よーちゃんああ見えて僕なんかよりうんと優しいから安心してねっ」
「そうそう、よーちゃんも言ってたけど高等部は中等部と違ってちょびっと厳しいとこもあるんだー。お勉強も前より難しくなってくるし、将来の為のコネクション作りとかー、おうちのお手伝いも皆いままで以上に忙しくなってくるよね」
僕も今週末パパのお手伝いでアメリカだよー、やだよー。などと愚痴を挟みつつも安江は話を続ける。
しかし、安江のこの話し方はどうにかならないものか。いや、半年の付き合いとはいえ安江に直す気がないのは分かってはいる。それでも先ほど俺がさした釘を一瞬でへし折られたら苛立ちもするだろう。
「ストレスだって今までの倍以上になるけど、政央は全寮だから気楽に外に遊びにもいけない訳さ!」
「そこで、学園内に作られた制度がこちらー!!」
じゃじゃーんと口で効果音をつけ、安江は自身の背後にある巨大スクリーンに向き直った。
それを合図にスクリーンには放送部が編集した映像が流れはじめる。
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