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とさっ
背後の柔らかい感触を合図に俺は動いた。
五十嵐先輩の首に回した両腕を力一杯自分に引き寄せ、中腰の先輩をベッドへと引き込む。
体勢が悪かったこともあり、先とは違い五十嵐先輩は簡単によろけてくれた。
寮に備え付けのシングルベッドとは明らかに違うサイズのそこは男二人が横たわってもまだ余裕がある。こんな時まで金持ちとの差を見せつけられるとは。
「大胆だな」
「やられたらやり返す主義なので」
「寺崎の力じゃ俺は持ち上がらないだろ」
「それは無理です……なので少しくらい主導権を譲ってください」
いまだに首に回していた腕を抜き、上体を起こし五十嵐先輩の顔の横へ両腕をつく。
体勢がきついので失礼ながら腹部を跨げば俺が五十嵐先輩を押し倒しているような体勢になる。
あ、これ興奮するな。
平然と俺の行動を眺める五十嵐先輩だが、ソファで交わしたキスのせいで唇だけはエロチックに濡れている。
その姿が彼女と重なり自然とその後の行為を連想させた。
ゆっくりと舌を出し五十嵐先輩の唇へと近づく。遠慮がちに舐めればグロスのような苦味はなく女性とは違うことを再確認させられた。
「ふっ、犬みたいだな」
する事はほぼ同じとはいえ、彼女にしていたような愛撫を五十嵐先輩にもしていいものか。そんな事を考えていれば下からからかうように五十嵐先輩が笑った。
主導権を持った所でお前には無理だ、そう言われた気がして無性に腹立だしい。
この際間違っていてもいいからこの人の余裕のない顔をみたくなった。
俺も男で、彼女とはそれなりに経験もしてきた。下手かどうかは比べる対象がいないので分からないが、どこを弄れば気持ちいいかくらいは知っているつもりだ。
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