風邪から始まる嵐の予感

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五十嵐先輩の挑発に易々とのった俺は再び唇を落とした。 ざらつく舌で先輩の唇をノックすれば薄く開く。そこに欲望の熱を帯びた舌とたっぷりの唾液を流し込み探るようにくるりと回した。 そんな俺に答え五十嵐先輩も流し込まれた唾液を絡め舌先で俺の舌裏を優しく撫でる。 「んぅッ」 口付けが深くなればなるほど自分と五十嵐先輩の経験値の差がまざまざと浮き彫りになった。 口内の中でも皮膚の薄い部分を集中的に舌先でせめられ息継ぎの間も与えてはくれない。上という有利な位置にいながらにも俺はただただ先輩の愛撫に翻弄されるしかなかった。 「ん……はっ、ふ」 合間に何とか呼吸をするも直ぐに引き戻され下唇を甘噛みされる。くちゅくちゅといやらしい音は一層俺の興奮を高めると同時に鼓膜を犯し、背中を粟立たせ、俺の思考をどろどろに溶かしていった。 既に腕に力が入らない。 だが崩れたら最後、沼のような快楽のキスに溺れてしまいそうで俺は必死にシーツを握りしめた。 それを嘲笑うように五十嵐先輩は俺の歯列を幾度となぞりあげた。初めはくすぐったい感覚だったが繰り返されると痺れが脳から下腹部に走りそこで形になる。 「は、ぁ……んン、んんんッ」 俺が与えられる快楽に翻弄している間に五十嵐先輩は俺の腕を掴みくるりと形成を変えした。 同時に上から抑え込まれ今まで以上に口付けを深くする。 逃がさないとばかりに指を絡めじゅるりと強く舌を吸われた俺は苦しさと快楽から目尻に涙を溜めた。そんな事はお構い無しに五十嵐先輩の舌が俺の口内の隅々まで犯していく。
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