日常と化した異常

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先に映像内容を確認しなかった俺も悪い。 とは言えいまスクリーンに流されているこの場に相応しくない映像は何だ。 俺がポカンと開いた口を塞げずにいれば、隣の長身がクツクツと笑いだした。 「あんときの写真引っ張りだすとはな」 スクリーンには俺や安江、上岡をはじめとする少年たちの半裸で手錠や縄で拘束されたあられもない姿が。 「まぁ簡単に言っちゃえばアイドルの追っかけと同じかなあ」 「人気生徒による定期的なお披露目会!アイドルみたいに歌って踊ってーってのはないけど成績優秀者や部活動の功績なんかに対してのご褒美が用意されるんだあ!この映像もこの前のテスト上位者からのリクエストで撮ったブロマイドなのー」 ご褒美にあんな事やこんな事もーとかアホな事をぬかすあのバカの頭を誰か叩いてくれ。 流れてしまった映像を今さら止める術もなく、俺は呆れと諦めで小さく舌打ちをした。 実際制限はあるがある程度のお願いは聞きいれるこの制度。選ばれた人気生徒になんのメリットがあるのかと不思議にも思うだろうが、この閉鎖空間だからこそ成り立つメリットが多々ある。 例えば、上位人気者二名は教師と同等の権限が与えられる。他にも人気生徒たちには寮の個室部屋、外出許可の親の同意不要、成績に関わらず進級ならびに卒業の保証などなどここの学生なら誰もが欲しがるメリットを取り揃えている。 よくもまあ学園側が許可したな、と思うがそこはどうもご都合主義で突っ込んではいけないらしい。意味不明だ。 「もちろん一年生でも人気生徒の湧くに入ることは可能だよん!興味があったら三ヶ月後に行われる投票までに頑張ってアピールしてね」 想像通りというべきか、中等部から歪んだ思春期を過ごしてきた一年にとって情事を思わせるその映像は過激的だった。 後半には安江の声など聞こえぬほど食い入るようにスクリーンを凝視していた。
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