日常と化した異常

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ところかわって生徒会室。 無事?新入式を終えた俺たちは自身らの城である生徒会室にて我らが生徒会長のご到着をまつ。 言うまでもなく、俺の目は据わっている。 「たっだいまー」 悪びれもせず引き戸を開いた安江に手近にあった辞書を投げつければ、うおっと素の声をあげそれを避けた。避けんな、角に頭ぶつけろ。 心で叫んだつもりが口に出ていたらしく、「ひど!角はだめだよ角は」などと頬を膨らませて抗議してくる。 「うるさい。自分がしたこと反省しろ!お前のせいで俺はいらん恥をかいたんだ」 あたかも自分だけが恥をかいたように言ったが、実際は上岡や他の人気生徒も同様に後輩の前で恥をかいた。 その上、下手すれば後から顧問からお叱りを受けかねない。とんだ災難だ。 「えーでもでも、よーちゃんの写真の時みんな生唾のんでたよお!あんなエッチでキレイなよーちゃんが恥なんて僕思わないもーん」 「それにね、これで今期の特別枠も楽にとれるだろうから逆に感謝してくれなくちゃ」 まったく反省をしない安江に二冊目の辞書を投げつけるも今度は見事にキャッチされた。 会長すげー!と拍手を送る男が目の片隅に映りこむが、今は安江だ。 「あんなもん流さなくても俺は今回も特別枠に入る!大体なんでお前があの画像データ持ってんだ」 「あ、それ俺も気になってたわ。データあるなら俺にも回して!陽介のあの表情で何発でも抜ける」 「黙れエロ西」 さっきから会話に混ざろうとするこの男、エロ西こと江西一成(えにしかずしげ)は下品に右手でしごく仕草を見せる。 こんな男だがルックス、成績、運動神経においては学年トップである。それを踏まえれば性格の欠落など小さい悩みだ。と本人は言うが世間に出てその性格が(まか)り通るはずがない。 江西の代で会社が潰れるのではと友人として少し心配である。 「だーめ!あのデータは僕のおかずなんだから」 「お前もだまれ!黙ってデータよこせ!」
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