日常と化した異常

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side 江西 「にしてもお、よーちゃんくすぐり弱すぎだよ」 一通りの撮影が終わり、安江が陽介の手錠を外しながら呟く。それに対し散々弄ばれた陽介はまだ整いきれていない呼吸で罵倒を返す。 「うるさ、い」 「しね」 「へ、んたい」 『チビ』 普段の陽介なら絶対にしないミス。頭に酸素が回っていなかったにしろ今の状況でそのミスは陽介の命がヤバい。 俺はやっちまったな、と顔をひきつらせ可愛い顔を歪めているであろう安江に顔を向けた。 「あっ、ちが!今のはっ」 口にしてすぐ気付いたらしい陽介が慌てて言い訳をしようとするが、もう遅い。 カチャリと一度外された手錠が再び陽介の自由を奪った。 「だーれがチビだ、ごらあ!!」 久々にみる安江のぶちギレモードに遠目から御愁傷様と手を合わせる。 「大体ベッドん中で身長なんて関係ねーだろ」 「悪かったって!心にもない事いっちまった」 「普段から思ってるからこういう時に口からでんだよ」 「おーごもっとも」 傍観者に徹するつもりが思わず口をはさんでしまう。それに陽介がキッと睨んできたので口パクでファイトと他人事に手をふってやった。 「あと、何だっけ?変態?変態ってのはくすぐられてアンアン喘いでるお前みたいの言うんじゃねーのかよ」 「なっ!誰が喘いだ!」 「誰ってお前だろ、陽介くん」 安江の細い指が未だに晒されたままの脇腹をすーと撫でる。 「ひぅッ」 不意討ちに声をあげた陽介の顔がみるみるうちに赤く染まっていった。このままおっ始めるなら混ぜてもらえるだろうか、などと陽介には悪いが期待が膨らむ。 「おら、認めろよ。チビにいいようにされて感じる変態ですって」 普段より低い安江の声を耳元で直接受け、もう片方の耳を親指で優しく愛撫されつつも、陽介は吐息混じりに訴える。 「や、すえ。まじ勘弁して、くれ」 そんな陽介の哀願もぶちギレモードの安江には届きはしない。 耳たぶの縁を丁寧に舐め、再び耳元で囁く言葉はとても残酷なもの。 「許す訳ねーだろ、お仕置きだ」
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