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Side 上岡
余談ではあるが、俺が二人を一発で許したのには理由がある。
陽介は安江のようなタイプは怒らせると怖いというが、本当に怒らせて怖いのは陽介だ。
真面目そうな顔して、やられたら百倍返しというヤクザみたいな事を平気な顔でやってのける。
今回の仕返しは
「ちょっ!よーちゃんこれほどいて!」
「まてまて!手にもってんのなにっ」
生徒会室へと戻ってきた陽介の手には撮影で使用された手錠が二本。それと皿に入った白いドロリとした物体。
俺の手伝いもあり、抵抗虚しく後ろ手に拘束された二人に陽介は、筆で白いモノをすくいはだけたシャツから覗く突起に塗りたくった。
「ンッ……これトロロかよ」
「やだやだっ!かゆいかゆいかゆい」
そう、二人が塗られたのはトロロ。この為に態々食堂まで足を運んだのだろう。
陽介は四つの突起に一通り塗り終わると自身の席へと戻り仕事をはじめた。
「俺の仕事が終わるまでせいぜい苦しめ」
痒さに身をよじる安江と江西。
容赦なくいい放つと書類へと目を落とし仕事を進める。本当に容赦がない。
俺が自分でない事にホッと胸を撫で下ろしていると、陽介はふいに江西に顔をむけた。
「江西、そんなに痒いなら舐めとってやろうか?」
「え、まじ?」
「ああ、でも気持ちいいだけじゃお仕置きににらないんだっけ?」
ひんやりと笑う陽介の顔はどこまでも綺麗だが、俺は陽介を怒らせぬよう気を付けようと心に誓った。
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