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「んあ、おー副会長さまか…どうした?二年にあがって会う機会減っちまったからわざわざ会いにきたってか」
悪びれもせずグラビアアイドルが谷間を強調する雑誌のページを捲り八代先生はケタケタと笑う。
去年の担任であり、現在は一年生主任を務めているが人事はこの男の何をみて配属を決めたのだろうか。
このホストのような風貌で人事を丸め込んだか。
いや、ありえるな。
教師にしては明るめの茶髪にタイトめなスーツ、普段は外しているが拡張した耳の穴が右側に二つ左側に一つ。垂れ目がちの目元に泣きぼくろ。
大人の色気を感じさせる八代先生は実際学生時代にホストのバイトをしていたらしい。経験があるのだ、人事くらい簡単に誘惑できるだろう。
「そうですね…八代先生が僕に会えずお寂しいかと思い、仕事の依頼に参りました」
失礼な妄想を頭の端に追いやり、俺はさっきより分かりやすく嫌みを告げた。
いくら尊敬していないとはいえ目上である教師が相手なのだから敬語は当然だ。内容が嫌みであろうと。
俺は一人称を僕に変え話をすすめる。
「僕たち生徒会の業務補佐に一年を何名か指名しよかと思うのですが、成績上位者のリストをお借りするのと簡単な適性検査の実施にご協力いただけないでしょうか」
「悪いが断る」
「理由を伺っても?」
面倒だからだ、と教師らしからぬ発言に思わずため息が漏れた。
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