友情に勝る欲情

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「後輩パシっちゃいっけないんだー」 俺同様に國仲からグラスを受け取った安江が言う。その後ろでは上岡と江西が並木からグラスを貰っていた。 こう見ると本当にパシリに使ってるようだな。 実際は人気生徒が表を歩けば、混乱を招きかねないので隔離されているのだが。 そんな俺たちに気を使った磐田たちが会場からドリンクやら食べ物を運んでくれている。 「まあ制服ならまだしも今の格好だと直ぐに囲まれちまうからなー」 一年パシっても仕方ないっしょ、と取り分けてきてくれた皿に箸を伸ばしながら言う江西。 そんな口の悪さからは想像がつかない程きれいな所作で魚をほぐす江西は、やはり育ちがいいと思い知らされる。 「コイツらの言う事は気にするな、ありがとうな」 江西の暴言をフォローするように上岡が並木の髪をくしゃりと撫でた。 その行動に慣れていない並木はあたふたと戸惑いながら同じくらいの視線にある上岡へと懸命に話す。 「い、いえ!江西先輩のいう通り今の先輩方が表にでちゃったら危ないですしっ、それに……こんな素敵な先輩方を皆より先に見れるなんて役得です」 自分の言葉に段々と恥ずかしくなってきたのか、並木は俯き耳を赤く染めている。 便乗した磐田も「俺も幸せです!」と俺にキラキラしたオーラを送ってきた。 本当に可愛いやつらだ。 ここ二週間で俺は相当な先輩バカに成り下がったと思う。 三人の後輩が可愛くて仕方がなく、今一度磐田の頭を撫でた。 それを嬉しそうに受け入れる磐田の横で、後輩ばから構われているのが面白くないらしい安江と江西が唇を尖らせている。 イベント当日だというのに和やかな空気に俺は目を細めた。
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