友情に勝る欲情

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イベント時も生徒は制服または学校指定の服装で参加する事。 生徒手帳に記載されている通り、新歓も例外ではなく生徒たちは制服での参加を義務づけられている。 だが、今回の催し物内で行われる企画の為に人気生徒はみなある格好をさせられていた。 『皆様おまたせいたしました!今回も政央きっての美男たちが魅せてくれます!!』 『和をモチーフにした今回の企画にピッタリの着物での登場だーー!!!』 放送部員のスピーカーが割れそうな大声で紹介を受け、一人ずつ壇上にあがっていく。 その瞬間場内に地響きのような声援が響き渡った。 「うるさ」 自分の番を袖裏で待っていた俺は、会場内の盛り上がりに眉を寄せた。 イベント事態が盛り上がるのは嬉しいのだが、今から自分が見せ物になるかと思うと面白くはない。 丁度順番がきた江西が仮設のランウェイを歩き生徒たちの前でポーズを取っている。 これを俺もやらなければいけないのだ。憂鬱な気持ちを何とか奮い起たせ、俺は壇上へと足を進めた。 『では今回のこの‘’着物Deランウェイ’’の発案者でもある我らが生徒会長、安江宏太より一言!!』 そう、この企画は安江の発案なのだ。 新歓で目玉となる何かが欲しいと言い始めた安江は、俺の反対を押しきり実行した。 特別枠の生徒総勢10名が壇上にあがると放送部から安江にマイクが渡された。
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