友情に勝る欲情

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「みーんな、楽しんでる?僕はすんごく楽しいよお!!みてみてお着物も可愛いでしょ」 くるりと壇上で回ってみせる安江は華やかな女性の振り袖を着ている。 壇上に並ぶ生徒の中には安江以外にも好んで女物を着ている者もおり、似合っているとはいえ口元が引きつった。 偏見はないが好きこのんで女装をする男の気持ちはやはり分からない。 「本当はよーちゃんにも僕と色ちがい着て欲しかったけどヤダヤダって駄々捏ねられちゃったのー」 ざーんねん、と大袈裟に肩を落としてみせる安江に殺意が芽生える。頼むからこれ以上俺への辱しめは勘弁してくれ。 俺は「俺は男物のが脱がしやすくて好きだけどな」などと隣でニヤつくエロ西の足を踏みつけ怒りを紛らわした。 その間も安江はステージをウサギが跳ねるように歩き回る。 いいから早く話を終わらせろ。視線をむけ訴えるが安江は全く気づかなかった。 「もう直ぐ新歓も終わりの時間だねー、何か寂しいなあ」 「…………あ、そうだっ!!」 準備が大変だっただけに俺もどこか寂しく感じた。どんなイベントもそうだが、本番というのはあっという間だ。 安江に釣られ感傷に浸っていれば、表情を一変させた安江が悪巧みを思い付いたあの笑顔を浮かべた。 「今からみんなで鬼ごっこしよーよ」
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