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Side 上岡
安江の気まぐれから始まった鬼ごっこというゲーム。俺は早々に空き教室に身を隠し時間が過ぎるのを待っていた。
安江や江西はゲーム事態を楽しみ喜んで追いかけられているだろう。その証拠に開始5分で安江、8分で江西の捕獲情報が流れた。
他の生徒たちも大分捕まり残りは半数を切った俺を含めた四人。
未だ名前を呼ばれていない陽介はきっと上手く隠れたのだろう、と思った矢先にドタドタと廊下を走る音と寺崎と名前を呼ぶ大勢の声が耳に届いた。
「こんな服を乱してまで必死に逃げなくて良かったんじゃないか?」
飢えた獣の群れから回収した陽介の乱れた服を直してやれば「本能的に追われたら逃げちまったんだよ」とふてぶてしく答えた。
それが余りに子供っぽく俺は喉を鳴らして笑った。
「もうすぐ終了だな」
お互い向き合うように椅子に座り直し、この後の片付けの進行を話ていればあっという間にゲーム終了の時刻が迫っていた。
俺と陽介は講堂に戻るべく立ち上がった。のだが、思った以上に膝にきていたらしい陽介がフラつく。
支えようと手を伸ばすも、俺も立ち上がり途中だった為二人して床へと倒れてしまった。
「いった………」
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