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Side 上岡
バランスを崩した俺は勢いよく背中を床に打ち付けた。
重く節々の軋むような疼痛が襲い悶え転がりたくなるも、俺の上に倒れこんだ陽介の存在でそれも叶わない。
「わり、……ッ」
陽介は衝撃に眉を潜める俺を見ると即座に退こうと背を反らせた。
しかし、先の衝撃で足が痺れたらしく上手く立ち上がれず一度浮いた腰が再び俺の上に戻る。
俺を気遣い早く退かねばと何度もそれを繰り返す陽介の姿に、背中の痛みすら忘れて目を見開いた。
(………えろ、)
思春期とはいえいつでも思考がエロい方向に向いている訳ではないが、これは誰が見てもそう見えてしまう。
人の腰の上で腹部に手を添え上下運動などされてしまえば疑似セックスを想像し自然と下半身が反応してしまった。
好きな相手に密着されているだけでも意識をしてしまうのだ。不可抗力だと自分に言い聞かせ鎮まるよう素数を頭の中で数えた。
「えっと、上岡………何か当たってんだけど」
努力虚しく陽介にバレた。
気まずいだろうに俺の表情を覗き込む陽介に「誤作動だ」と顔を歪ませ答える。
ああ、穴があったら埋まりたい。
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