友情に勝る欲情

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「……携帯、鳴ってるな」 「………そうだな」 しつこく鳴り続く携帯電話に苛立ちを覚えるが、新歓の最中に盛っている自分たちに非があるのを分かっている分怒りをため息と同時に吐き出した。 「戻らないとな」 携帯のディスプレイの名前に眉を寄せる上岡に言えば、想像以上に甘ったるい声が出た。 上岡の指は通話ボタンを霞める前に携帯を床に置き、俺の腰を掴む。 そのまま引き寄せられ、身体を起こした上岡の膝に降ろされた。この体制とホールドする腕の体温は再び俺の思考を溶かすには十分だ。 俺は上岡の太い首に腕を回し目を閉じた。 『すぐるどこー?よーちゃんも帰ってないし進行できないよお』 結局しつこい電話に出る為バードキスを交わし離れた。 俺にまで届く安江の泣きそうな叫びに上岡は携帯を耳から遠ざける。俺たち以外の生徒は講堂に集まっているようで今すぐ戻れとスピーカーでわんわん泣く安江。 「分かった分かった、直ぐ戻るから」 優しく宥める上岡の声が恋人との会話を連想させ、胸がモヤモヤする。 まだ先までの行為に引っ張られている自分に嫌悪感を抱き上岡に聞こえぬよう舌打ちをした。 「陽介もいるから安心しろ」 「………ああ、わかった……そうだな」 長引く電話にやることもなく俺は黒板に伝言を残し、教室を出た。 【先にもどるわ、換気してから戻れよ】 俺のメモにふっと息を漏らす気配を感じ、俺も口許を緩むた。
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