天使の名の悪魔

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「失礼いたします」 新歓から数日後、俺は学園長に呼ばれ職員室の横にある学園長室をノックした。 品のある室内から「どうぞ」と招かれ扉を開くと、年の割りに落ち着いた雰囲気の学園長、高良田直仁(たからだなおひと)が書類からゆっくりと顔をあげた。 八代(やしろ)先生より3つも下だとは言われても信じられない。 「転校生ですか?」 室内手前にあるソファーに腰掛け呼ばれた本題を伺えば、後ろに流した髪をかきながら眉を下げ話し始める。 「ああ、芸堂学園(げいどうがくえん)からくる二年生なんだが寮の手配と転校当日の学園案内を頼めるか?」 「分かりました……それにしても変な時期の転校ですね」 「はぁ、本当は進級と同時の転校予定だったのだがトラブルで遅れたらしい」 話を聞いていくうちにどんどん険しくなる顔。 俺は不安になり生徒という立場を忘れ問いかける。 「直仁(なおひと)さん、体調優れないですか?」 遠慮がちの問いに直仁さんはとろけそうな甘いマスクを笑みの形に変えた。 「心配させてしまったな、体調が悪いわけではない……実はな、」
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