天使の名の悪魔

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高良田は一週間もしない間に多くの生徒を敵にまわした。俺の知る限りでも横暴な態度に激怒する者は少なくない。 例えば、江西。 普段それほど人に素の感情を出さない江西だが、高良田には本気で嫌悪感を抱いていた。 「ここでの食事は一般生徒禁止だけど」 政央の食堂は規模としては広いが、全校生徒が同時に食事を出来るほどのスペースはない。 その為、一般用とは別に特別枠の生徒用に10席設けられている。これも人気生徒に与えられたメリットの一つだ。 「なんだお前!いきなり来て失礼だぞ!!俺は友達の陽介と飯食おうとしてるだけだろ!!!」 高良田は登校初日の放課後を待たず俺に接近してきた。昼食中の俺を見つけると階段の注意書を無視して特別枠専用のスペースへとズカズカと入り込んできたのだ。 注意をしていたが相変わらずの聞く耳のなさに困っていれば、昼食にきた江西が俺の代わりに説明をしてくれる。 だが高良田はそんな江西を、周囲が驚くほど声高に怒鳴りつける。 江西は決して理不尽に退けと促した訳ではない。食堂のルールを説明した上で一般生徒用の席で食べるよう注意をしただけ。 そんな江西に対し理不尽に吠える姿はさながらヒステリックな女のようだった。
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