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正論を突き付けられぐうの音もでないのか、高良田は顔を真っ赤にして震えた。
これで静かに昼食をとれると思った矢先、隣からガタリと椅子と床が擦れる音がした。
「で、でも俺は……っうわあ!!」
勢いよく椅子から立ち上がった高良田を横目に味噌汁をすすっていると、足を縺れさせた高良田が江西へと倒れこんだ。
そこからは不思議とスローモーションにみえた。
転びながら何故か手をばたつかせる高良田。
お盆を持っていた為避けることの出来ない江西。
高良田の手があたり宙を舞うお盆。
倒れ混む二人。
お盆から落ちた味噌汁を被る俺。
そして、
ぶつかる高良田と江西の唇。
「な!なななななな!!なにしやがんだああ!!!!」
これだけ周りを引っ掻き回した高良田は、自分から倒れこんだにも関わらず江西の頬を容赦なく叩き走り去っていった。
残された俺と江西はしばし唖然としてまじまじと見つめあう。
この瞬間ばかりは呆れすぎて腹も立たなかった。
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