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俺と数センチしか変わらない身長のわりに江西の体は男の俺でも見惚れてしまう。
固く引き締まった腹筋、ギリシャ彫刻のような胸板、手足は長いがひょろりとしている訳ではなく鍛えられた男のものだ。
俺は江西の体に嫉妬し、泡立ったボディタオルを強めに背中に押し付けた。
「江西ってスポーツなんかやってたか?」
背中も無駄な肉がなくボディタオルに引っ掛かる広背筋が忌々しい。
俺の問いに「なんもー」と間の抜けた返答を返す江西が、唐突にくるりと振り返った。
「陽介、筋肉薄いもんな」
「さわんな」
「今度筋トレのやり方教えてやるよ」
「お、それは知りたい」
人の腹筋に許可なく触れてくる江西の手を叩き落とし、肩を掴み前を向かせる。
抵抗もせず素直に前を向いた江西の申し出が嬉しく、俺は自然と声を弾ませた。
今までこれ程深く江西と二人で話すこともなかったが、四六時中エロ西って訳でもないらしい。
俺の中の江西の好感度が急上昇した。
「そいやさっきから気になってたんだけど、ソレって誰に付けられたキスマーク?」
会話の途切れに、明日は晴れか?くらいのテンションで聞いてきた江西。
見に覚えのある俺はピクリと一瞬指に力が入ったが、何でもない風に答えた。
「キスマーク?また安江の悪戯じゃないか」
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