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思わぬ人物の登場に空気は一変した。
江西は何事もなかったかのように俺から離れ嫌そうに浴室入り口を睨んだ。
そこから現れたのは、
「え、だれ?」
予想していた人物の容姿とはかけ離れた男に俺は間抜けな声を出した。
しかし直ぐに高良田の容赦が作り物であると思い出し納得する。
横を見れば俺以上に驚いた江西は口をあんぐりと開いていた。緊張感のない顔に失礼だがほっとした。
「あ、陽介!さっきぶりだな!!」
俺たちを見つけた高良田は、眼鏡で隠していた大粒のアーモンドのような瞳を溢れそうなほど大きく開き、かつらを外したらしく地毛の金髪がサラサラと動きに合わせて揺れている。
やはり女の子だったか。などと思ったが、裸体は確かに男だ。
「高良田くん、随分と見た目が変わりましたね」
素直な感想を口にすれば高良田はしまったと体いっぱいに表現する。お前は演劇俳優か。
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