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「俺ら急いでるからそこ退いて」
両サイドにいた江西と上岡も、安江を庇うように一歩前に出る。
友人を馬鹿にされて黙っているほどコイツらも温厚ではなく、特に江西は普段口論していても安江とは仲がいいので込み上げてくる怒りを隠しもせず高良田に牙をむいた。
「一成!急いでるってどっか遊びいくのか?なら俺も一緒に行ってやるよ!!人数多い方が楽しいだろ!」
感嘆符が頭に響いて鬱陶しい。
やるよ、って何様だ。実際に遊びにいくとしても高良田だけは誘わないと心に決意した。
にしても会って直ぐに下の名前を呼ぶのもどうにかならないだろうか。
皆べつに下の名前を呼ばれる事が嫌いって訳ではないが、親しくない奴に呼ばれればやはり不愉快だ。
俺も同じでコイツらから名前を呼ばれるのは何とも思わない。ちなみに俺だけ名前呼びなのは単純に寺崎が学年にもう一人いるからだ。
あ、でも安江も会って直ぐにあだ名呼びだったな。
ただ安江によーちゃんと呼ばれるのは抵抗ない。多分、高良田だから不愉快なのだろう。
「陽介、俺みんなとゲーセン行きたい!」
お得意の上目遣いにプラス裾を掴んでくる高良田。お前こそ男に媚び売ってないか?と先の発言に疑問が湧く。
「だから俺ら急いでるって言ってんだろ」
「そこ邪魔だからー」
「遊びに行くなら他を当たれ」
高良田の行動に間髪いれず三人が動いた。
江西は首に巻き付き、安江は俺の腰に抱きつく。上岡はさっき俺がしたように俺と高良田の間に入り背に俺を隠した。
分かりやすい三人の嫉妬に口元がひきつる。
安江のこれはいつもだが、最近では上岡も江西も気持ちを隠そうとはしない。
俺が困ってようがお構い無しに迫る江西に、上岡が何かを察したように参戦するようになったのだ。
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