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「おいおい、あんま高良田いじめてやんなよ」
江西をひっぺがしていると丁度真後ろから聞き覚えのある気だるげな声が聞こえた。
振り返らずとも分かるその声の主は、俺たちを通過すると高良田の側まで行きくしゃりと高良田の金髪を撫でる。
「信司!仕事終わったのか?なら俺らとゲーセンいこうぜ!!」
おいおい、こんな成だが仮にも教師だ。せめてさんか先生をつけろ。
呆れた眼差しで目の前の光景を眺めているが等の本人は八代先生の登場により興味を俺たちからそちらに移している。
それにしても意外だ。
八代先生がこういうタイプの生徒に自分から近づくとは思わなかった。きっと聞けば「可愛きゃ性格なんかどうでもいい」とか最低発言が返ってきそうだが。
「おーゲーセンか。行きたい所だが準備室の整理しなきゃなんねーんだわ………丁度いいから高良田、手伝ってくれるか?」
「えー!!俺いまから陽介たちと約束あるし」
「お前にしか頼めないんだよ」
「し、仕方ねーな!!信司がそこまで言うなら手伝ってやるよ!」
「おーそうかそうか、ありがとなー」
八代先生は高良田と話ながら気づかれぬよう俺たちに帰れと合図を送った。
先程のやり取りを見ていた八代先生なりの優しさなのだろう。お言葉に甘えて俺たちは忍び足でその場を去った。
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