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疲れが溜まっていたのであろう。
八代先生は熱燗を三本空け終える前にテーブルの上で寝息をたて始めた。
先に食事の片付けを済ませて戻るが起きる気配はない。以前のように寝かせておこうかとも思ったが、体勢が体勢なだけに余計に疲れそうだ。
「先生、寝るならベッドに移動してください」
軽く肩を揺するが返事はなく、先より強めにもう一度揺する。
それでもほろ酔いの助けもあり唸り声をあげるばかりで起きようとはしなかった。
「……帰るか」
これ以上粘っても仕方がないので寝室から毛布を拝借し八代先生にかけると玄関へとむかった。
結構長居をしてしまったらしい。時計の針は門限の時刻を当に過ぎていた。
「ッうぉ!」
そそくさと玄関でスニーカーを履いていれば後ろからの重みに驚き変な声を出してしまう。
振り替えれば今まで寝ていたはずの八代先生が後ろから抱きついていた。
「帰んな」
「えっ」
「傍にいろっていってんだよ」
「な、に……言ってんだ、アンタ」
首に巻き付く腕が重く体だけでなく心の重心の置き場をなくし崩れそうになるのを必死で堪える。
耳元にかかる吐息がいやに熱い。
背中に伝わるスウェット越しの体温も寝起きのせいかお酒のせいか熱く、俺へとその熱が移るような気がした。
「今日このまま泊まって明日同伴しよーぜ」
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