年の差は経験の差

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side 八代 先生というこの場には相応しくない単語により、俺の脳内は一気に冷めた。 最悪な事にこの状況に至るまでの記憶も全て残っており誤魔化しようのない現状に軽くパニックする。 昔から酔うと防衛から口説きモードになっていたが、まさか今でも癖が抜けてないとは。 未成年に飲酒まで強制してしまったのだ。こりゃ本気でクビが飛んだな。 「あちぃ……せんせ、あつ」 こぐり。 自分が唾を飲む音がいやに生々しく、目の前の寺崎に欲情しているのだと再認識させられる。 どうせクビならいっそこのまま美味しく戴いてしまおうか、いやクビになろうとも寺崎の嫌がる事をするのはどうなのだ。 俺の本能と理性が真っ向から対立しているうちに、寺崎は待ちきれなくなったとばかりに自身からキスを求めてきた。 「ッ………ふンッ、寺崎一旦おちつけ、シャワーで酔い覚ますぞ」 「やら」 「舌回ってねーじゃねえか、とにかくこい!」 ふるふると首をふる姿は普段からは想像もつかない程幼く、だがゆるんで少し開いた唇と、エロチックな視線は男を捕らえる女豹のようだ。 俺は寺崎の腕を掴むとそのままバスルームに投げ込み、自身も服のまま中へと入る。 蛇口を捻れば勢いよく冷水が出てきたが、酔った体には冷たくて心地よい。 寺崎も熱をおびた体を冷やすようにシャワーの水をあおいだ。 「きもち」 「酔い覚めたか?」 「ん、覚めた……さめたからもっと」 「……どんだけ酒弱いんだよ」 たかだか二口しか呑んでいないというのに寺崎の酔いは覚めず、濡れた俺のスウェットを引っ張り自分へと引き寄せた。 たぶん寺崎は俺と同じ分類なのだろう。酔うと理性がぶっ飛び頭がゆるくなるタイプ。 この状況を棚上げにして、俺は寺崎の将来が少し不安になった。
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