短編

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拝啓、飛鳥様。 クチナシの花が咲き誇る季節になりました。 そちらは梅雨はあけましたでしょうか、こちらはもう太陽が張り切っています。 この度、私は結婚することになりました。私は知っての通り、地元の金貸しの末娘でして地元の名ばかりの豪族とお見合いを致しました。 お見合いの男の人は綺麗な顔立ちをしてらっしゃいまして、死者と変わりのない程青白い肌でした。そんな華奢な身体と裏腹になかなか、やくざ的な言葉を話していました。 その人の家は、私の家に相当なお金を借りていまして。それのお目付け役と言うか、家にいらない物の処分場所がわりなのでしょう、父上様からしますとね。 金を借りてる手前、やくざ口調に慣れてない敬語が交わりとても面白かったです。先生に見せてやりたかったですよ。 お見合いするまで知りませんでしたが、この相手目が見えないようでして、お手伝いさんの裾を掴みながら来ました。 お手伝いさんが、教えるまで私の事に気付いてない様子でした。 こう言ってはダメなのかもしれませんが、どうもその姿が可愛らしくて。 先生の事ですから、もし顔を合わせて私と話してたら、人権だとなんたら言って怒りになるでしょうね、後生ですから許してくださいね。
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