短編

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拝啓、飛鳥様。 こちらはもう、朝顔の花の顔にでんでん虫がくっついています。 まぁ、先生そんな昔の事を言うのはおよしになって欲しいです。 旦那様、つまり前の手紙で伝えた、人と結婚いたしました。とても大きな結婚式だったのですが、私は西洋風の結婚式が良かっです。 目暗の旦那様ですが、どうも人を疑う事がないお方でして、私が旦那様の散歩にご一緒した時に少し悪戯心でそこに溝があるのでお気をつけて下さいね、なんて言いますと、唯の道路を大股でそこに溝があるかのように避けましたの、その姿を見て私、どうも悪い事をした様な気がして反省しましたわ。 先生がお叱りになって反省文を書かすより、反省させる効能がありましたわ。 旦那様には嫌な癖がありましてね、一緒に散歩をして地元の人間に挨拶をされますと、おい、俺の嫁は可愛いか?、なんて毎回聞きますの、私は止めてと言っているのですが、毎回聞きますの。 そして、ご綺麗で、なんて言われても顔しかめて、頭をおかきになって、首を傾けて少し唸るんですの、自分でお聞きになったのにそれがお世辞だと思って本当の事を知りたいなんて言いますの、当事者の前でですよ。 本当に困る、旦那様ですが良い夫なのは間違いないです、後先生、私苗字が変わりましたのでこれからは川内と呼んでくださいね。
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