短編

5/6
前へ
/6ページ
次へ
私は、書斎で煙草を吸っていた。ジメジメと湿度は高くなって行くのを肌で感じながら、水の中にいると心地がいいのに何故湿度が高いとイライラするのは分からなかった。 こうやって昔の教え子の手紙を読んでその返しをするのは楽しかった。 夏が終われば、今の教え子に国語を教える。 先生と言うのは、大変なもので、先生からすると特別な生徒は片手で数える程しかいなくても、生徒側からすると恩師と思える様で、私が30年先生をして、一年に150人程に国語教えて、その百五十人の一割に恩師と思われたとすると、30年で四百五十人に恩師と思われる。 450人全員が手紙を送ってくるわけでなく、毎週送るのは更に一割だ、それでも四十五人程。四十五通も手紙を書くのは心痛だが、片手で数える程の大切な教え子に手紙を書くのは楽しいものだ。 この洗観音寺、いいや、川内か。 そうだ、そういえばいつかは、分からないが古い時代の頃に目が見えない人を話があったな、そうだこれを書いてやろう。 ふむ、文字にすると面白い小話だな。 昔、小さな海沿いの村で、目が見えない旦那とまだ初々しい嫁がいた。彼女はここに来てまだ1ヶ月も立っていなかった。 旦那は夜、嫁の顔をぺたぺたと触っていた。 ううむ、凹凸があるのが美しい女の特徴と聞いていたが、凹凸はあるにはあるが、果たして美しいのかどうかは分からないなぁ。 旦那は嫁が寝静まると、男友達にこの悩みを聞いた。 するとその男友達は、それなら俺に作戦があると言った。その作戦というのが女郎を呼び、他に男を呼 んで嫁の隣に女郎を座らして、どちらかを抱いていいぞと言うのだ、そして女郎より抱きたい奴が多かったら美しいと言う事だ、目が見えないお前でもこういう証拠が残れば、美しいと言うことがわかるだろ。 旦那はその作戦を承諾した。もし嫁が抱かれそうになっても自分が言えば、大丈夫だろうと。 そして作戦を決行した。嫁を抱きたいと思う男はゼロで女郎を抱きたいと思う男の方が多かった。 旦那の男友達は旦那の耳元で、女郎を抱きたい奴は居なかったよ、全員お前の奥さんだったよ。と言って、呼んだ男を帰らして、自分は女郎を連れて自分の家に連れて帰った。 旦那は嫁が美人だとわかって嬉しそうだった。そして今日も嫁を連れて街に言っては、俺の嫁は可愛いか?と聞く。 答えば勿論可愛いばかりであった。 その内旦那は嫁の浮気を怖がって
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加