1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あんた達みたいにうっさくて騒がしい奴らが三人もいたから。…寂しいとか、そう思う暇……なかった、かも」
職場でトラブルなんて絶えないし、残業がやたら増えた時は思わず火でもつけたろか!なんて過激な殺意を覚えたこともあったし――大きな失敗をしてしまった時は本気で落ち込んだりもしたものだが。
その悲しさや怒りは――この部屋に帰ってくるといつもすぐ吹き飛んでしまっていた。だって、自分勝手で、こっちの都合なんておかまいなしな連中が――そんな自分の悩みも何もかも、みんな蹴っ飛ばしてくれてしまうものだから。
――ひょっとしたら。…ぬくもりって、こういうことを言うのかな。
彼らには触ることなどできないし――触ったってきっと、そこに体温なんてものはないのだろうけど。
寂しさを消してくれて、いつも自分に退屈しない日常を提供してくれる彼らは――彼らの日々は。ひょっとしたらぬくもり、に該当するものだったのではなかろうか。
最初のコメントを投稿しよう!