15.嫁さん

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  「今日はゆっくり飲んでってくれ。とは言っても会費制だからな、足りなくなったら自分で払えよ」 「えぇ! そこは『俺が出す』って言うところでしょ!」 「和田、お前の心意気に免じて出させてやるよ」 「ご馳走様です! 和田先輩!」  すかさずみんなから声があがった。 「勘弁っ! 俺は出さないからなっ!」 「みみっちい!」 「俺、みみっちいの。それでいい。柏木さんとは違う」  どうやら三途はアルコールを飲んでもいないのに雰囲気に酔っているようだ。はしゃいで喋り回っているうちに足元がふらっとする。 「あ!」  周りが行くより先に池沢の手ががっしりと三途の腰を支えた。みんなから注がれる酒を片っ端から飲んでいるのに、三途の姿はしっかり把握していたらしい。 「座れ。立ち歩くな」 「……はい」 「……もうさ、突っ込むことも出来ないよ。聞いた? 『はい』だってさ」 「『猛獣使い』って言うんでしょ?」  花に続いたジェイの言葉に振り返った池沢の顔に、みんなの身が竦んだ。 「なんて言った? ジェイ」 「『猛獣使い』。誰か言ってたよー」  途端にぐるっと周りを見渡す。一同静かにグラスを傾けた。 「ジェイ、もう飲むな」  こそっと浜田が言うのを聞いて、池沢の目が浜田に飛んだ。 「いや、あの、ジョークですってば。それをこいつが真に受けて……」 「今日は俺たちのために集まってくれたからな、だから許す。二度と言うなよ」 「分かりました。了解です」 「でも他の人は褒めてたよ、三途さんと結婚するなんて勇気あるって」 「おい! ジェイにそれ以上飲ますな!!」   
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