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「三途さん、足大丈夫? ずい分歩いてるでしょ? 辛くない?」
ジェイはそれが心配だった。
「ありがとう。大丈夫よ。辛くなったら隆生ちゃんが支えてくれるから」
みんなが一瞬で固まった。
「たかおちゃん? だれ?」
花の間抜けな声を聞いてそっちにジェイが驚く。
「ウチの人のこと! ね、隆生ちゃん」
「ありさ、人前でそう呼ぶな!」
花がぐいっとワインを煽った。
「だめ。俺の頭が処理できない。たかおちゃん、ウチのひと、ありさ…… やっぱ、だめ」
「あの……俺たちも『隆生ちゃん』って呼ばなきゃだめですか?」
言った途端にジェイの頭にゲンコツが落ちた。
「痛っ! なんですか、『隆生ちゃん』!」
「もう一発欲しいか? ジェイ、二度とお前が言うな」
笑いで肩が震えるありさの腰に手を回し池沢は戻っていった。
「ばかじゃねぇの? なんでお前が『隆生ちゃん』なんて呼ぶんだよ」
「だって……『チーフ』もだめみたいだし。今度は『隆生ちゃん』になったのかと思っちゃったんだ」
呆れた顔の4人に、どうやらまたやらかしたらしいとジェイは横を向いてワインを飲みほした。それでもあんまり2人が幸せそうで、それを見ているジェイも幸せだった。
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