15.嫁さん

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   大滝は帰り、黒いスーツも帰って行く。池沢家も三途川家も親族はとっくに帰った。残ったのは気の置けない連中ばかり。 「課長も行くってさ」  嬉しそうに花が言う。2次会みたいなところで蓮が一緒にいることが実は花は好きだ。最近の蓮は仕事に燃えていて、特に目が離せない。 (絶対課長みたいになる!)  自分がまさか他人を目標にするなんて思っていなかったが、蓮には充分にそうさせる力があった。 ――カリスマ性  それが蓮にはある。あの若さで見下すのとは違う、人を従わせる圧倒的な存在感は今の自分には毛ほどもない。 (あの牽引力がほしい) そして、決断力、実行力。 (俺なんてまだまだ足元にも及ばない……)  タイプが違うのは分かっている。けれどどうしてもそれが欲しかった。 「みんな、今日はありがとう! まさかこうなるとは俺も思ってなかったんだが」 「私も。こんな頑固頭のチーフなんかと結婚するなんてね」 「でもこうなってみればピッタリですよ! チーフの相手には三途さんしかいないって気になるし、三途さんをどうにか出来るとすればチーフか課長……河野さんしかいないし」  澤田の言葉にいくつもの賑やかな声が同意する。  
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